命からがら、2時間に1本の列車を無事駆け下りた大物俳優Yさんと私N。なんとか紀伊長島に予定どうりついたことを、現地スタッフにしらせるべく、携帯で連絡をとろうかな
とYさんをみると「足のしびれ」により、まだすぐ歩けそうにない、、
そして驚いたのは私たちの降りたホームに出口の改札はなく、また階段をのぼり、そして降り、反対のホームにいかなければならないことに気が付いた
都会のホームのようにエレベーターなどない、
結論はひとつ、Yさんをおぶって上り下りするしかない
ただし、むかえのワゴン車はこの2時間1本の列車から、改札から、さっそうとあの昭和の大物俳優が出てくるのを、今か今かと待ちわびている状況が、なんともしようがない
なぜなら、現地スタッフ、いや世の中のすべてのひとは大物俳優Yが「病気で足がしびれること」など知る由しもないし、Yさん本人も「いちいち言わんでいい」と足のしびれのことについて前もって周りに説明をするのをいやがっていたからだ。
「一難去ってまた一難」なんて昔の言葉がここまでしみた瞬間もない、いや、2難ぐらいではすまないだろう、、
「いや、その連続の一日になるかも」と私Nはこのとき別の覚悟をきめた。
マネージャーというのは現場においてどういうことが大切かを24歳からこのとき34歳まで10年修行をしてきた
一番たいせつなのは「本人の信頼と」「現場のしきり」である
私N「俺が全部しきるしかない」という覚悟をきめたのだ
まず、荷物が邪魔、Yさんを田舎のホームのベンチに座らせるとすかさずスタッフに電話、「あ、Nです、本日お世話になります、今駅につきました、まず、荷物だけ先にお渡しさせてください」
私N「Yさん、荷物だけ先に迎えの車のスタッフに渡してきます」とまず一人で反対のホームの改札に荷物両手にかけていきます
そこにスタッフAさんが来ました、荷物をわたすと、少し離れたところに6人の関係者とワゴンが2台止まっています
ここで仕事です。
私N「よろしくお願いします、Aさんだけにお伝えします、他言無用です、Yが長旅と持病で今左足がしびれてあるきづらい状態です、ホテルまで私の指示に従いフォローお願いします、それと、マッサージかあんまさんを今からすぐホテルにこれるか手配していただきたいのですが、あたれるところを当たってください!わたしは一足先にYのところにいきますから、追いかけてAさんも反対ホームにきてください、Aさんと2人でかつぎます!」(1人は味方にしてしまう)
本番まで2時間ある30分でもマッサージして血行をよくすれば1時間はもつ!
Aさんは一瞬「えっ??」という顔をしたが、「わ、わかりました、、、」と、私Nの真剣な表情を悟ってか、荷物をドライバーにわたして、ドライバーにマッサージ手配の指示をしてくれた
反対ホームにもどり
私N「すみません、状況説明します、ワゴンがきてます、今味方が1人きます、この人間だけ足のしびれてる事をしってます、5人ぐらい人が出迎えてます、よろしく!と笑顔で言っていただいたら、すぐワゴンに乗り込みます、本番まで今から2時間あります、ホテルにマッサージ師呼べるか、、今確認中です、、、」というと
Yさんも表情やわらかに、「、、きみも相当鍛えられてるな、、、、前はどこにいたんだっけ、、、」
私N「大学新卒で○○プロに7年いて、看板の○○担当を5年半やりました」というと
Yさん「ははは、、、、なるほどな、、今日はNくんにまかせるよ、、」
「しきる」とタレント含め自分のまわりをすべて自分の決済で動かすことにあるのです
新人のマネージャーにはない力で、大物の芸能人のマネージャーはこの力がかなり強い
中には大物歌手のマネージャーは、歌の本番収録中、本人が見せ所(いちばんの聞かせどころ)で声がででなかったというのをみて
マネージャーがステージにあがり「すいません!ストップもう1回やらせてください!10分ください」と収録をとめて、しまう人もいたぐらいだ
私Nも今日の講演はなにがなんでも成功させる!文句はどこからもださせない!
という覚悟で動き出していた
目指すは2つ「講演成功」と「本人の大物俳優のプライド死守」である
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