4年間もスカウトから手塩にかけて育てていた「当社の新人」の協議的移籍の合意にいたるには、社長をはじめスタッフも断腸の思いですが
「世に出て歌姫になるチャンスをつぶしてはいけない」という親御心でなくなくの合意です
当時、CDが売れなくなっていた2000年ごろですから、音楽ましては、新人デビューのために「億以上のお金」をポンとだせる会社はかぎられた「大手」のみです
普通なら
「移籍料」をかなり頂くところだとおもいますが、社長は「音楽」で「ヒットする」ということを前提に「出版権を分けてもらう」ということで合意の着地点としたのです
この大岡裁きというか、太っ腹、寛大さは「その当社の新人への愛」以外のなにものでもないと思い尊敬いたしました。
細かく移籍料をもらったかどうかは、向こうが払うといったならもらったかもしれませんが、こちらの社長は主張したはなしはなかったです
「音楽の出版権」とは複雑でまた10回シリーズぐらいに説明がなってしまうので、簡単にいうと
「その楽曲の使用する権利」のことです、
決して本の出版とは別のものなのできりはなして考えてください
1曲の楽曲に対し必ず「1社の代表音楽出版社」が存在し、日本音楽著作権協会(楽曲管理団体で国に準ずる文化庁管轄の音楽の使用料、徴収、分配機関、通称ジャスラック)楽曲申請をします
すると、放送、カラオケ、その他有線放送、CD再生、実演、CDプレスなどなど、様々な形でつかわれるこの「楽曲(曲)」の使用料を徴収分配してくれるわけです
代表音楽出版(申請出版社は原則1社)とそのほかにこの出版権を分けることができるのです
この下で分けてもらう出版社を「共同出版社(コーパブ)」、とか「子の出版社」とかいいます
大体わかりやすく具体例をいうと
例えばフジテレビのドラマの主題歌の「A曲」の代表音楽出版社は放送局系の「フジパシフィック音楽出版」が半分の50パーセント
放送局にはそれぞれの音楽出版社があります
歌手の事務所が25パーセント、レコード会社が25パーセントの
3社出版とかオーソドックスですが
今回の移籍を例に挙げれば事務所分の25パーセントを2分割して、移籍前の事務所と12分の3(契約書上はこう表記するつまり全体の12.5パーセントずつ)ずつ分ける
わけです
タイアップをほかの会社がとったら他ともわけて4社出版とか、、、何分割もするときもあります
これが「音楽出版権」の解釈です
「原盤権」とはこの楽曲のレコーディング費用、レコードの製作費のことですので別のはなしです
このほかにも
「作詞家」「作曲家」への印税の権利
プロデューサーへの「プロデューサー印税」
歌手の事務所への「歌唱印税」や「プロモーション印税」など
1曲の曲のなかに音楽には5から6種類もの印税と5社、6社とさまざまな会社が権利をむさぼるわけです
100万枚、ミリオンでたら「寝ていて億万長者」になれるわけです
昭和、平成10年までは音楽業界がいかに夢のある世界かお分かりいただけるとおもいます
だからお金のある大手は最初から「億プロジェクト」をくんでも売れれば3倍~6倍となったわけです
まぁ「売れれば」のはなしですが、、、
次回は、音楽は億っていうけどどこにそんなお金がかかるのか知りたいという方も多いとおもうので
億プロジェクトのお金の流れをざっくり書きます
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